
霊

解題
この節、冒頭の話題は、感覚が霊をとらえられない、ということ。前の節でも冒頭では感覚が神をとらえられない、という話でしたから、このことはよほど重要であります。感覚は実存を見ることができないというのは、どういうことでしょう?
感覚というのは、物理学的に言うなれば、エネルギーの交換の結果得られるものです。「見る」という行為も光子という量子つまりエネルギーの放出と吸収という現象が感覚の根拠になります。エネルギーの交換がある時、それは交換する主体の変化を生み出します。つまり、感覚というものは相互作用なのです。
相互作用が起こる前の純粋な存在、これを実在と呼ぶことにしましょう。実在というのは、本当に在るもの、実存(der sein)です。実存はア・プリオリに存在する。前提条件なしで存在するのです。前提条件なしというのは例えば、なんらの相互作用の結果を前提としない、ということですよね。相互作用に依らず存在するものは、相互作用によって影響されない。つまり相互作用の埒外に在るのです。
実在は現象の結果ではなくむしろその前提であるとするとき、実在そのものは感覚でみることはできないが、実在の生み出す自発的波動の干渉は現象として見えてくると考えられます。
宇宙に存在すると言われるダークマター。これは光子と相互作用がないので、見えないのです。光子つまり電磁波と相互作用しないということから、電波望遠鏡でも見ることはできない。では、どうして、物理学者はダークマターの存在を知るのでしょうか?それは、ダークマターが重力との相互作用を持つからです。
その意味でダークマターは物理的実体ということになります。が、生命・霊・神というものはすべての相互作用の外にあるのです。あらゆる相互作用の影響を受けずに存在しているもの。それが生命であります。生命は束縛を受けずにただ自発的に現象を奏でる。相互作用はその現象に於いて発生するものなのです。
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