
罪

解題
「罪」とは実在するものなのか?という非常に不思議な問題提起。ここに至って、これまで、「実在」について、詳しく説明を聞いてきたことが理解の役に立ちます。
実在とは本当に存在するもの、消えてなくならないもの、感覚に映らないものです。そして、この節ではもう一つの性質として「完全性」を挙げています。「完全」なるものは、「神」それ自身と「神の造ったもの」だけであると言います。
「罪」が実在するための「完全性テスト」。「完全なる罪」というものが想定できない、ということを童子は言っているんでしょう。
「罪」というネガティブなものは、何等かポジティブな存在を対象として要求します。ポジティブなものがあるから、これを壊して「罪」を顕す。「壊れ」なんですよね。「完全な壊れ」というのは、もう矛盾しています。
病気もそうです。
健康な状態から、「壊れ」があると、病気になる。だから、病気が完全だということは無い。
病は実在ではない、というのはそういうことです。
「病人」というものは存在しない。
病人は、完全なる人間の機能の一部が壊れた状態であるだけ。この壊れ方の類型をxx病と言いますが、実際にxx病という実体がいるのではない。
「壊れ」を実在と見るのは、無理なんです。
ボートに穴が開いているので、頭にきた男は、のこぎりでその穴の周辺の板ごと、その穴を切り取ってしまいました。すると穴がなくなったので、もうボートは沈まなくなりました。
。。。これ、確か昔読んだケストナーの本にあった与太話ですが、「穴」「壊れ」を実体としてみてしまうと、そうなるんですよ。
病気も罪も「実在」ではないから、切り取れない。それは「壊れ」にすぎないんです。
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