
物質

解題
感覚が実在に及ばないことを繰り返し述べている甘露の法雨。この節でも、これが最初のテーマです。感覚と物質は同じ次元のものとして表され、そして、それが二次的なものであると説かれています。
例えていうならば、映画においてフィルムと映像の関係。元の情報はフィルムにある。我々が見ている現象はフィルムから映し出された映像にすぎない、というわけです。
現象は映像にすぎない。。。
この比喩は言うなれば奇跡です。
甘露の法雨が成立した頃(20世紀初頭)、映画はやっと庶民の娯楽として広く知られ始めたところでしょう。そして、「映画」よりも前に、「元の情報と照らし出された映像」という関係、写像の関係を持つ現象、そんなものは無かったんです。
そして、ですよ。
現象が何か元の情報の写像であるという、比喩。これが単なる比喩でなく、真実だとしたらどう思います?
私たちにとって、現実である現象が、映像だとしたら?
驚くなかれ、量子力学の学説の一つ「超弦理論」において、「ホログラフィック原理」と知られている説は、まさに、甘露の法雨に書かれている映画のフィルムと映像の関係を真実だと言っているのです。
ホログラフィック原理、というものをちょっと解説します。
超弦理論(ひも理論、超ひも理論、M理論等と呼ばれます)を使って、ブラックホールのエントロピー(情報量)を計算したところ、それは体積ではなく面積に比例することがわかったのです。不思議!まるで、一次元下のフィルムの様なものが有って、それが3次元の世界を作っているかの様な話です。
これはまるでホログラフィーです。
2次元が3次元を支配していることがわかったのです。これを物理学的に「証明できない真実」を表す「原理」の言葉で表現したのが「ホログラフィック原理」です。
どこか別のところに真実がある。
我々の現実たる現象はその真実の影にすぎない。
ですから我々が現象に対して真剣にしている実生活は、映像に対して行なっている愚かな行為かもしれません。
例えば、怪我をするでしょう?
我々はそこに絆創膏を貼るでしょう?
私たちは、映画に映った怪我をみて、スクリーンに絆創膏を貼っているのです。。。
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